聖学院大学における全学共通科目による教養教育は、グローバルな現代社会に生起する諸問題について学び、その問題を自らの課題とすることを通じて、社会における「良き隣人」となることのできる人材の育成を目的とする。
本学の存立の基盤であるキリスト教に基づいた「キリスト教科目群」を置く。学生は、初年次にキリスト教とは何かを知る「キリスト教概論」、3年次には、学部学科の専門分野を踏まえたキリスト教の考え方を学び、建学の理念を理解すると共に、グローバルな視点を得る。また、現代社会において、キリスト教と諸科学の分野がどのような関係にあるかを学ぶキリスト教関連科目が教養科目の柱として設置され、一般的な教養科目と、これらキリスト教関連科目とにより、学生は、プロテスタント・キリスト教の視座から世界を見通すことのできるリベラルアーツ的な教養を身につけることになる。
その他、大学教育全体の基盤として外国語科目、デジタル・シティズンシップ科目、教養科目など基礎的な科目を置く。また、地域に暮らす意味を学ぶため、日本社会、地域学を中心とした科目群を置くとともに、これに関連して自身の生涯にわたる生き方を考えるキャリア教育科目を置く。さらに教職課程科目、図書館情報学課程科目、社会教育主事課程科目など全学的な科目群ももつ。
本学の教養教育は、このような諸領域科目が連携し、各学科の専門科目と連動して、確かな思考力と表現力を養成するための総合的な教養教育を推進するように構成されており、これらの学修を通じて、学生が現代社会の諸問題を的確に理解するための基礎的な力、読解力や分析力、課題解決のための多面的な思考力を身につけることができることを目的とするものである。
18世紀の後半、西欧市民社会の成熟期にあたり、初めて社会科学としての経済学が成立したとき、それは政治経済学(ポリテイカル・エコノミー)として構想されたが、爾来、科学技術のめざましい進展の過程で、技術的にも社会的にも分業が進み、これに対応する学問も細分化、専門化の一途をたどってきた。しかし、今日の社会は、過度に専門化された知識をもってしては、かえってその現実の態様を捉えることができにくくなってきている。巨大な総合的有機体としての現代社会の認識のためには、高度に専門化された知識を生かしつつ、学際的な総合による把握が不可欠となっている。
ここに統合学部としての政治経済学部が構想された。キリスト教思想の伝統においては、ポリティックス(政治学)とエコノミックス(経済学)とは分けられず、広い意味でのエシックス(倫理学)として捉えられていた。この統合は、今この新しい社会状況の中で、現代的妥当性をもって再現されるべきであると考える。
政治経済学部では、研究の目的を上記に関わるものとし、教育の目的を以下のように掲げる。
日本は現在、他の国々と相携えて秩序ある世界経済の発展に貢献する責任をますます大きく背負う立場にあり、欧米先進諸国とイコール・パートナーとなるに至っている。一方国内的には、都市化・工業化・民主化・情報化の波は日本の地域社会をも、国際的変化に直接連動させる結果をもたらし、日本社会を大きく変えつつある。このような社会変動の渦の中で、一方での科学技術の国際化と他方国際関係の理解や、協応の実をあげるためには、国内外を問わず、政治経済が新たに重要な意味を持つに至り、実社会の第一線で働こうとする人材の教育には、政治経済の統合された知識が不可欠となってきた。
そこで本学科では、国際的視野に立つ知識や教養を重視する立場から、まず語学教育を重視する。また、キリスト教世界に属する諸外国の政治経済を中心とする地域研究を進める一方で、日本やアジアその他の国々の地域研究を行い、両者を比較考量する知識を授けるとともに、本学が立地する埼玉県が日本の中でも最も典型的に都市化、高齢化、就業人口の急増化、階層変化等が急速に進みつつある地域だけに、このような社会変動を政治経済の局面において捉え、また社会学的、行政的、法的な観点からも考察する。
政治経済学科では、研究の目的を上記に関わるものとし、教育の目的を以下のように掲げる。
人文学部は、プロテスタント・キリスト教の文化伝統を受け継ぐ聖学院大学にあって、古い伝統を有する「人文(フマニタス)」と呼ばれる学問領野を継承する学部である。聖学院大学人文学部は、この「フマニタス」をその本来的な意義において理解し、特にキリスト教文化における「人間学(anthropology)」の伝統を継承する中で文化を教育と連結させることによって、現代における「人間学的な文化形成」の実現を目指している。即ち、近代世界の成立と展開に独自の貢献を果たし、現代社会においても固有の責任を負っているプロテスタント・キリスト教の役割を基底とし、真理の探究と成熟した人間形成を希求する様々な教育と研究の営みを通じて、日本はもとより他国の人々をも含む人類全体の文化の進展に寄与する人材を育成することを教育並びに研究の目標としている。
こうした深い「人間理解」に根差す人文学部は、欧米文化の研究的教育的継承を課題とする欧米文化学科と、日本文化の全体像を新しい視点から研究し教育する日本文化学科、さらには児童学を基盤に文化と教育の課題に取り組む子ども教育学科とにより、人文学部としての重要課題である「教育と文化の連結」について、特に「言葉」を重視する教育の中でこれを深化させ、強化する学部である。
折しも経済のグローバリゼーションのもたらす正負の「現実社会」を前に、日本の内と外の双方からの視点を持ち、多元的な価値観のもとに異文化との共生を目指す「新しい人文知」が必要とされる現状にあって、人文学部は、このような「現実社会」の動向に柔軟に適応しつつ、次代を担う人材を育成することを目指す学部として存立する。
人文学部では、研究の目的を上記に関わるものとし、教育の目的を以下のように掲げる。
欧米文化学科は、時代の趨勢であるグローバル化に対応し、プロテスタント・キリスト教の伝統の精神及び文化を継承しつつ、それを研究、教育することを目的とし、現代にふさわしい国際的な感性をもった学生の育成を目指す。即ち、今日の相互に関連し合う世界において、学生がグローバル市民としての役目を果たせるようになるために、自国だけではなく、他国の言語、歴史、風習、伝統、考え方等の知識も獲得し、グローバルリベラルアーツ教育―欧米と日本の言語と文化の知識習得―に力を注ぐことで、卒業後の進路において成功するための必要なスキルを獲得することを教育目標とする。
具体的には、留学制度やTOEIC、TOEFLなどの資格対策科目などによってコミュニケーション力を磨く英語を中心に、その他のヨーロッパの諸言語や日本語表現法までを幅広くかつ多彩な形で学ぶこと、さらには、グローバル時代の文化を『グローバル社会の倫理』『英語圏文化』『視覚文化』などの多彩な科目を通じて今日の文化のあり方を考えていくことを通じて、「グローバル・コミュニケーション力」と「異文化理解」を養っていく。また、教職課程(英語)や児童英語、さらにはキャリア・ガイダンスや海外企業インターンシップなどにおいて資格取得や就職活動もサポートすることで、グローバルな現代社会にふさわしい、多様な価値観を受けとめる力量を持った人材を育成する。
欧米文化学科では、研究の目的を上記に関わるものとし、教育の目的を以下のように掲げる。
欧米のキリスト教文化の到来が惹き起こした日本文化との出会いは、単なる文化の比較論によっては捉えられない深い次元での文化接触であり、それは新しい日本学を要求するものである。今や日本文化の研究は、単なる多元主義による自家文化の特殊性の擁護や主張に留まることはできない。むしろグローバリゼーションという文化地平が拡大してゆく中で、日本文化の特色を自覚しつつ、それを新しく人類文化の文脈の中で理解し、新しい文化交流へと生かすという「日本学」が要求される。
日本文化学科は、この新しい文化グローバリゼーションというコンテキストにおける日本学に取り組むために、言語学や文学のほか、広く歴史、宗教、思想、芸術、ポップカルチャーなどの広範な研究領域において日本文化の新しい見直しと統合の方向を模索する。
また本学科は、社会での実践的な能力の育成、ひいては人生全体を生き抜く力を身につけるために、より体験的、実践的な科目をおき、その能力をもとに文化、教育等において地域にも貢献できる人材を育成することを目指し、さらには近隣の東北アジアとの文化交流を視野に入れた新しい日本学を展開していく。
日本文化学科では、研究の目的を上記に関わるものとし、教育の目的を以下のように掲げる。
子ども教育学科は、幼稚園と小学校の教員養成を主たる目的として開設され、あわせて指定保育士養成施設として認可され、キリスト教的人間理解を基盤とし子どもを一人の人格とする児童理解をふまえて、乳幼児期から学童期までの全ての子どもたちの育ちに関わる課題に取り組むことを教育研究の使命としている。とくに、児童英語をふくむ言葉の技能を身につけ、倫理観ある専門性を備えた幼稚園教諭、小学校教諭、特別支援学校教諭、保育士をいかに養成するかは、学科を挙げての研究課題である。教育研究の対象とする子ども期を、言葉に触れ、言葉を信頼し、言葉を獲得して使う力を習得する時期と捉え、建学の精神に即した教職課程において育まれた深い他者理解とコミュニケーション力を生かして、主として人とつながる領域で活躍する幅広い職業人の育成を模索する。
子ども教育学科では、他の文化圏の人とつながる手段としての児童英語に着目し、幼児・児童の英語指導の理論と技能を身につけた教員養成に取り組む。言葉の力を信頼し、人の言葉を受け止める力と言葉に拠って思考する力、さらに言葉を媒介として児童・保護者・同僚・地域社会と繋がることのできる人間性と技能の模索や、言葉にならない思いが心持ちの内に常に在ることを認識し、身体的事情で発語がかなわない場合にも願いは変わらずに在ることを理解し、こうしたことに思いを至らせることのできる人としての姿勢と度量を育むこともまた、子ども教育学科の専門職養成の研究主題である。
子ども教育学科では、研究の目的を上記に関わるものとし、教育の目的を以下のように掲げる。
心理福祉学部は、プロテスタント・キリスト教の文化的伝統を受け継ぐ聖学院大学にあって、建学の理念「神を仰ぎ人に仕う」のより具体的なH標である「良き隣人となる」人材の育成をめざす学部である。
高度に多様化・複雑化し、急速に変化する今日の社会にあって、「生きづらさ」を感じる人が増加しつつある。また、社会経済的な格差が拡大しつつある中での貧困の連鎖の解消、心身の障害をもつ人びとの自律・自立支援、高齢者の介護と権利擁護など福祉的課題が軍要さを増してきている。このような現代社会にあって「良き隣人となる」ためには、善意だけでは足りず、専門的な知識と支援の技術をもつことが不可欠である。心理福祉学部においては、「福祉の心」を涵養し、現代人の心の問題と現代社会の福祉的課題に関する専門的な知識と支援の技術を教授して、現代社会において「良き隣人となる」人材の養成をめざす。
心理福祉学部では、研究の目的を上記に関わるものとし、教育の目的を以下のように掲げる。
①心理学と福祉学の専門知識を修得し、「良き隣人」となって共生社会の創成に資するための拮礎的な知識と能力を培い、所定の卒業要件単位を取得した者に学士(心理福祉学)の学位を授与する。
②心理学又は福祉の資格取得をめざして所定の単位を取得した者には学士(心理福祉学)の学位に加えて当該資格を与える。
心理福祉学科は、乳幼児期から高齢期にいたるまでの人生全般にわたって現代人が直面する諸課題について心理学と福祉学の両面から学ぶことを特色とする。
本学科においては、現代人の心理及び現代社会における福祉的課題に関する専門的な知識と支援のために必要な知識を教授し、現代社会に生きる人びと、特に日常生活において身体的・精神的・社会的な支援を必要とする人びとの心理・社会的課題を理解し、共感し、支援する能力を修得させる。そして、そのことを通して、「良き隣人」として福祉社会の実現に寄与する人材を養成する。またさらに、心理学及び福祉学の専門知識と支援技術をもって総合的に支援する専門職の養成をめざす。
心理福祉学科では、研究の目的を上記に関わるものとし、教育の目的を以下のように掲げる。