先進的なSDGs・サステナブルな取り組みを行っている北欧発祥の家具メーカー「イケア」の新三郷に訪れ、その取り組みを紹介してもらう「サステナブルストアツアー」に参加。 お店のバックヤードも見学し、商品だけでなく物流や廃棄物の扱い、さらには働き方に至るまで顧客の満足度を下げることなく行われているサステナブルな取り組みを体感してきました。
2024年9月12日(木)に北欧スタイルの家具や雑貨を取り扱うイケア・ジャパン株式会社(IKEA)にご協力いただき、IKEA新三郷で「イケア サステナブル ストア ツアー」を実施しました。
聖学院大学サステイナビリティセンター(SSC)が企画し、学生9名、教職員4名が参加しました。
当日の様子をお届けします。
イケアが商品開発で大事にしている5つの項目を説明いただきました
ツアーではまずイケアの商品の特徴を各売り場のスタッフが説明。
イケアの商品は美しいデザイン、優れた機能性、サステナビリティ、高品質、低価格という5つからなる「デモクラティックデザイン」という考えを元に開発されており、デザインや品質だけでなく、手の取りやすさや環境への配慮といったことも大きく考慮されているそうです。
その上で、各商品の説明がありました。例えば、家具で使用している木材がどこから来ているのかを管理把握していることや、木材に変わる素材として木より成長が早く、耐久性にも優れた竹も使用しているといったことが紹介されました。
サステナブルな生活を送れる商品を紹介いただきました
サステナブルな商品の取り組みは家具だけでなく、我々が普段使用する日用品にも及びます。
紹介いただいたのは充電池や自動点灯消灯する照明、節水効果のある蛇口、繰り返し使うことのできる容器などです。
イケアは元々通常のアルカリ電池を売れ筋の商品として扱っていましたが、使用済みとなれば廃棄になり、環境への負荷がかかることから販売を停止。新たに繰り返し使用が可能な充電池に完全に置き換えたそうです。
たとえ売れ筋の商品であっても、環境に負荷が掛かるのであれば販売を見直すといった企業の姿勢に多くの参加者が感心しました。
サステナブルな生活を送る工夫を教えていただきました!
この人気のぬいぐるみは海洋プラスチックを再利用
商品の説明は実際の売り場で行われました
バックヤードに続く扉に進む-ここから先はツアーに参加してのお楽しみに…
バックヤードに入り、最初に案内されたのは廃棄物の分別エリア。
商品販売の過程で梱包材などのゴミや破損して販売できなくなった商品が生じてしまいますが、イケアではそれらのゴミを32品目に分別をし、そのうち21品目をリサイクルしているそうです。
ダンボールなどリサイクルをする上で買い取ってもらう品目もあれば、お金を払ってリサイクルをしてもらう品目もあると言います。費用が掛かっても環境への負荷を避けるという企業の信念を感じる説明でした。
なお、パッケージだけの破損で商品の中身には全く問題がない場合は、新たに店舗でパッケージを作成し販売するなど廃棄物そのものを減らす努力も行われています。
商品の搬送・倉庫エリアにも案内いただきました。ここで紹介されたのは紙製のパレット。
通常のパレットは木製ですが、イケアでは再利用が容易い紙パレットの利用を開始。近い将来には完全に紙パレットに置き換えると説明がありました。
学生からは耐久性について質問があり、実際に体重をかけて踏んでみることに。紙とは思えない頑丈さで、通常の搬送では問題がないことを実感しました。
何より紙パレットは大きさも豊富なため隙間なくトラックのコンテナに積むことができ、一度に多くの荷物を運べるためCO2排出量の削減に貢献できると言います。
サーキュラーマーケットで家具買取の説明を受けました
イケアの環境への配慮は商品の購入後にも続きます。この取り組みとして紹介されたものが家具買取サービスと部品の提供のサービス。
家具買取サービスでは引越しなどで不要になったイケア製品を買い取り、必要であれば修理してリユース製品として再販売。商品は「サーキュラーマーケット」というブースでアウトレット製品などと一緒に並びます。
家具を組み立てる際や解体する際などにパーツを紛失してしまった場合にも、製品を再び利用してもらうために部品の無償提供を行なっているそうです。
多くの製品で長期間パーツを提供するためにも、各製品で使用するパーツはできるだけ共通のものを選択しているそうで、ネジ1本からお渡ししているとのこと。
様々なサポートで製品を長く利用してもらう工夫をしていることを学びました。
店内のツアーが終わったらスウェーデンレストランへ。イケアの環境への配慮は食事にも及びます。
その配慮の一つが植物由来の食材を使用したプラントベースの料理。例えば動物肉を使わないミートボールの代替品であるプラントボールの生産は従来のミートボール生産に比べてCO2の排出などによる環境への負荷が抑えられていると言います。
実際にプラントボールを乗せたキーマカレーを提供いただき食べてみることに。味も食感も本物のミートボールに劣らず美味しくいただくことができました。
レストランで提供されるものは販売もされています
人気メニューのサーモンは水産養殖管理協議会(ASC)の認証を受けた養殖場から仕入れており、あらゆる工程で適正な取引を経たものを提供しているそうです。
いくら環境に良い食品を販売しても、多くの人に食べてもらわなければ意味がないと言います。そのため、味だけでなく、従来の商品と同等かそれ以下の価格で提供することも大切にしていると説明がありました。
レストランの机の上には環境への配慮の説明が
プラントベースのソフトクリームもいただきました
食品売り場でスタッフに説明をしていただきました
1Cプラントボールを味わう機会は聖学院大学にも1C
聖学院大学はIKEA新三郷とのコラボ企画として7月9日に大学内で「イケアのプラントボール試食会」を実施しました。
多くの学生・教職員が試食会に立ち寄り、プラントボールと従来のミートボールを味わいながらの食べ比べを楽しみました。
試食会の様子はこちら:【IKEA新三郷×聖学院大学 コラボ企画】サステイナビリティの実現を目指す学びの機会---イケアのプラントボール試食会/イケアサステナブルストアツアー
イケアは「公平さ」をとても大事にする職場だと言います。
従業員の平等性や多様性、そして多様性を受け入れる風土は働きやすい職場づくりに繋がり、また多様な考えが生まれやすく、組織の活性化にもポジティブな効果をもたらすそうです。
学生からは「なぜ従業員の皆さんは“1Cさん”ではなく、あだ名で呼び合うのですか?」という質問も上がりました。イケアでは、その人の役職ではなく、その人がどんな人であるかが重要であり、お互いを尊重する姿勢から自分が呼んで欲しい名前で呼び合っていると教えてくださいました。
・ツアーから食事まで本当に楽しかったですし、美味しかったです。SDGsやサステナビリティについてかなり理解できました。(政治経済学科 4年)
・イケアで行われていることをわかりやすく教えていただいたため、イケアのことを良く知ることができました。(欧米文化学科 3年)
・ゴミ分別の仕組みを見学し、ちゃんとリサイクルに取り組んでいるのを見て、感動しました。学校の外でいろいろと勉強できることが好きなのでとても満足しています。(心理福祉学科 1年)
・普段立ち入ることのできない場所やイケアスタッフさんの解説、昼食などどれも貴重な体験になりました。思っていた何倍も企業の取り組みについて真摯に学べました。また質疑応答を通して理解を深めることもできました!(政治経済学科 2年)
商品だけでなく、製造・物流から働き方まで、様々な面で“サステナブル”の理念が行き届いていることを実感するツアーとなりました。
イケア新三郷のみなさんありがとうございました!!
参加者とイケアの皆さんで記念撮影