学びと教育
政治経済学科 八木ゼミ(経営学:組織行動論)では、企業などの組織において人間が行動する際にみせる様々な法則性(理論)について学び、フィールドワークでそうした理論をどのように現場で活かせるか、実践しています。 1/21(水)の授業で学外から講師をお招きし、「応用演劇ワークショップ」を行いました。実は、演劇にはチームワークやリーダーシップ、コミュニケーションといった組織行動論の核心的な要素が含まれています。学生は、演劇的に身体を使ってみることで、どんな学びを得たのでしょうか?
「組織行動論」とは、経営学の一分野で、主に「ひと」のマネジメントについて考えます。組織のメンバーから協力を引き出し、目的に向かってメンバーを動かすのは簡単ではありません。そのために必要なスキルやその背景にある理論的枠組みを学び、自分自身と他者をより良く理解することが、組織行動論の目標です。
左から、川飛 舞花氏、畠山 邦男氏、八木先生
八木ゼミの学生には、中国、ベトナム出身の留学生が多く、日本人学生とともに学ぶゼミは、多国籍企業に見られるような異文化マネジメントの現場と同じ環境にあるといえます。文化背景をはじめ、さまざまな側面で“自分と異なる他者”と上手く働くことの重要性は、現代日本社会ではますます高まっています。この合同ゼミにおける活動は、 “自分と異なる他者”と組織で建設的に協働するスキルを身につけることが必須である、異文化マネジメントの実践といえるでしょう。
「自分が呼ばれたい名前」の名札をつけます
ワークショップは、本学ボランティア活動支援センターと上尾市所在の認定NPO法人みのり 領家グリーンゲイブルズとのつながりから実現しました。当日は、領家グリーンゲイブルズ アートディレクターである畠山 邦男氏と、アシスタントに川飛 舞花氏を講師としてお招きし、「学生間にある国籍、文化などのバリアを取り除く。」「組織行動論のヒントにつなげる。」をワークショップの目的としました。そのため、ワークも集団の中で人々がどのように行動し、互いに影響を与え合うかを感じてもらえるようなものを選んでいただきました。
「拍手回し」の様子
ワークショップは、文化や国籍といった違いではなく、「その人らしさ」に焦点を当てた自己紹介から始まりました。その後、「拍手回し」「数字を作ろう」といったワークで、身体を動かしながら人と人が「出会う」体験に進みました。次に、アイマスクをして視覚が制限された状況を作り出し、声と身体の動きだけで仲間を集めるというワークを行い、限られた情報のなかでより良いコミュニケーションを取るにはどうしたらよいか、ゼミ生たちは知恵を絞ることで、互いの理解を深めていきました。
応用演劇ワークショップを体験して、学生からは「コミュニケーションの重要性を改めて認識した。」「文化や言語の違いで分かり合うのは難しいと思っていたが、ワークショップを通じてコミュニケーションの可能性を信じることができた。」との感想が寄せられました。
畠山氏は「卒業までの間、大学という同じ舟に乗るクラスメイトとお互いが学び合えて、楽しく過ごすきっかけとなったら良いと思う。」また、ワークショップにおいて「周りの人を巻き込んで楽しめたか、誰がリーダーシップをとっていたか、自分はどうだったか、振り返ってほしいと思う。」と、体験からの学びのポイントも示されました。
組織行動論の視点から見ると、チームワークやリーダーシップの役割の重要性が浮き彫りになり、また、組織内での一人ひとりの柔軟な対応が、成果を生むことを実感できた貴重な機会となりました。
「よろしくお願いしますワーク」で、ハイタッチしながら挨拶。日本語、中国語、ベトナム語、それぞれの言葉が飛び交います。
「1分自己紹介」名前に加え、自身を表す3つのキーワードを発表。
「わたし、あなた」の声掛けを合図に、席を移動します。動きが加わり始め、だんだんと和やかなムードに。
「数字を作ろう」では言葉を発せず、リーダーを作らず、アイコンタクトと雰囲気で「21」「42」を作りました。
最後のワークショップ「もっと知り合う」ではアイマスクを着用し視覚に頼らず室内を移動します。
アイマスクを着用したまま、声だけで仲間を集めます。