聖学院大学大学院
キリスト教精神を基盤とする、
現代の「生きた知」を探求します。
文化総合学研究科長 教授|濱田 寛
キリスト教文化が欧米の文化の基盤であり、その欧米文化とのせめぎあいの中で日本の近代が形成されてきたことはよく知られています。今、私たちは「インターネット社会」とも言い得る世界に生きていますが、それは、私たちが大変革の渦中に置かれていることを意味します。そうした状況においては、個々の感性や人と人との関係性、更には本来それらを支えるべく知性や教養すらも「揺らぎ」にされていると言えるかもしれません。だからこそ、時代の変化にあっても変わりようのない真理を求める―ここに本研究科の意味と価値があります。本研究科は、私たちの生の営みそのものである文化の根源を理解し、現代の「生きた知」というものを探求します。
その1
少人数授業を通じて、学生それぞれの学術的関心に応じた指導を実施し、専門的な研究能力や批判的思考力を育成しています。
その2
文化総合学研究科にはアメリカ・ヨーロッパ文化学、キリスト教文化学、日本文化学、文化基礎・人間学の4つ分野のコースがあります。
その3
主専攻で専門知識を深め、論文執筆を通じて探究を深化し、副専攻で学際的視野を広げることができます。
その4
修士と博士の両課程で、独自研究を段階的に深める学術支援を行っています。
その5
働きながら学べる柔軟なスケジュールを提供し、多様な学び方を支えています。
アメリカおよびヨーロッパの文化の根柢にはキリスト教プロテスタントの価値観が脈々と流れている。現代の主導的価値観の基礎をなすアメリカ・ヨーロッパ文化をキリスト教文化学、神学、哲学、倫理学、文学、歴史学,政治思想等の諸学の領域から研究し、どのようにアメリカ独自の思想文化が発展してきたのか、ヨーロッパの思想や文化が何を目指してきたのかを問いつつ、世界各地の近代化に密接に関連しているアメリカ・ヨーロッパの文化をグローバル化が進む現代の状況と課題を見据えながら、文化変容の問題や文化の比較という方法的視点にたち、深く追究する。
近代化以降の日本文化は、キリスト教の受容にはじまり、それと深く関わる欧米の価値観の摂取というまさに文化変容の場である。自由や平等という普遍的価値をめざすとともに、伝統的文化が重層的に基層をなす場でもある。そしていままさにグローバル化というあらたな動向の只中に置かれている。その日本文化のありかたを、キリスト教学、キリスト教思想、倫理学、歴史学、文学、文化論等のさまざまな視点から多角的にとらえ、日本文化に課せられた現代的な課題に向き合いつつ、未来に向けあるべき文化像と人間像を模索し考察していく。同様な近代化を経験した日本とアジアの文化との連関の考察も重要な研究の課題である。
世界をリードするアメリカ・ヨーロッパ文化の根底にあるキリスト教思想が、古代から現代までどのように展開したのか、欧米文化にどのような影響を与えたのかを歴史的に解明する。特に、ニーバー、キング、ガンジーなどの諸説から“近代世界とキリスト教”の関わりを重点的に研究。さらに、キリスト教思想から現代をどのように理解するかをも追究する。
文化には諸地域での特有の現象という側面と、他方で地域という枠をこえた文化現象の通有性、あるいは文化の根柢にある人間のあり方の普遍性という側面もある。哲学、教育学、文化表象論等から、文化の基礎にある普遍的な人間のありかたを現代的な課題を踏まえつつ、歴史的にあるいは構造的に深く追究する。
冨田 幸子さん(ヨーロッパ文化学コース)
イタリア旅行の際に見た古代ローマの遺跡。コロッセオやポンペイの町など、2000年前の建造物が現存していることに驚き、古代ローマ文明に興味を持ったことが大学進学をするきっかけとなりました。聖学院大学の人文学部で若い学生たちとともに欧米文化を学び、その後大学院へ進みました。ゼミはもちろんローマ文明をテーマとしているゼミを選択。ディスカッションでは互いの意見や考えを自由に発言し、ローマ文明への理解がより一層深まりました。修士論文の執筆の際も、ゼミの担当教員から丁寧に指導していただき、非常に内容の濃い論文を完成させることができました。人生経験は長いですが、知らなかったことを知るという喜びは、何物に代えがたいものです。